東北大学 緩和医療学分野

教室案内

教授挨拶

緩和医療科長 就任あいさつ

平成27年5月15日付で緩和医療科長を拝命しました
井上彰です。

東北大学病院では平成14年から呼吸器内科、同24年からは臨床研究推進センターに所属し、主に進行肺がんの診療や臨床研究に携わってきました。一方、平成10年に国立がんセンター東病院の緩和ケア病棟で研修して以来、がん治療の一環としての緩和医療を常に意識し、平成22年に豪州ホスピス留学から帰国後は当院の緩和ケアチームの一員として活動してきました。

当院では、平成12年に国立大学病院としては初の緩和ケア病棟が設立されて以来、2000名以上のがん患者さんに対して専門的スタッフによる手厚いケアを提供してきました。一方、平成19年には緩和ケアチームが発足し、他科でご入院中の患者さんについても苦痛ない療養生活を送れるよう、主治医と相談して治療にあたってきました。緩和医療は「がん終末期の看取りのケア」と誤解されがちですが、昨今は「がんと診断された時からの緩和ケア」が世界の常識となっており、都道府県がん診療連携拠点の指定要件として「緩和ケアセンター」に求められる役割にもそれは色濃く反映されています。

すなわち、従来からの緩和ケア病棟と緩和ケアチームによる支援体制に加え、院内のがん患者さんに対して広く苦痛のスクリーニングを実施して、「声なき苦痛」に対しても「緩和ケア外来」「がん看護外来」「がん診療相談室」等を介して積極的に対応し、さらには地域の病院・在宅医とも密に連携し、質の高い緩和医療を普及させることが求められています。限られた期間の中で上記体制を整備するため、関係する部署、診療科の先生方にはご理解とご助力をよろしくお願い申し上げます。

さらに東北大学病院が果たすべき役割として、臨床のみならず医学生や若手医師に対する緩和医療の教育や質の高い臨床研究の実践も挙げられます。いずれも一朝一夕に出来ることではないですが、研究面については肺がん関連で得た経験を生かして、緩和の領域においても東北から質の高いエビデンスが発信できるよう努力します。